2006 | 開催メッセージ |
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「GNHの方がGNPより大事だ」と言ったのはヒマラヤの小国ブータンの国王です。GNHとは、GNP(国民総生産)やGDP(国内総生産)をもじったもので、あえて訳せば「国民総幸福」。GNPやGDPのPはプロダクツ(生産物)のP。それに対してGNHのHはハピネス(幸福)のH。ぼくたちの社会がGNPやGDPの上昇を「経済成長」としてありがたがってきたのに対して、ブータンの国王は、商品とそれを売り買いするお金の量によって、社会の豊かさやそこに住む人々の幸福がはかれるものだろうか、という疑問を投げかけたんですね。 この言葉が気になっていたので、去年2度ブータンを訪ねてみました。実際、ブータンの村々を訪ねてみると、まだまだ豊かな生態系、自給型農業、コミュニティの助け合い、伝統文化、スローライフが健在で、人々の幸福度、満足度はかなり高そうなんです。 ひるがえってGNPやGDPの高さを誇るぼくたちの社会のことを考えてみる。うーむ、GNH度が高いとはぼくにはどうも思えないのです。 特に東京都はGDPというモノサシでは全国第1位ですが、食糧自給率はわずか1%。エネルギーや水の供給もゴミの廃棄もほとんど遠隔地に頼っています。おまけに住居は家賃が高くて狭く、都心は緑少なく空気も悪い。高い生活費を稼ぐために忙しい人々の多くは家族や友人とゆっくり顔を合わせる暇もない。そんな東京を豊かさのモデルと見立てて、突っ走ってきたのがこれまでの大量生産・大量消費時代の日本人でした。 ![]() 辻 信一(コーディネーター) そして今、地域が地域らしいモノサシをもつことや、国が国らしいモノサシをもつことをますます困難にしているのが、グローバル経済です。グローバルスタンダードという名の祭壇に、ぼくたちの幸せを構成するはずの愉しさや美しさや安らぎやおいしさが犠牲として捧げられようとしています。 それを食い止めるのは、ぼくたちのGNH幸福主義です。成長から成熟へと、GNPからGNHへと、今こそ、飛躍しようではありませんか。ぼくたちは皆、幸せになるために生まれてきたのです。 |